実はね、冬がいいんですよ、八ヶ岳は。
八ヶ岳スタイル37号 五百蔵 肇・基代様ご夫妻
今年の3月で、八ヶ岳・星の音ヴィラヴィレッジに移住してちょうど丸一年。
取材にお伺いした時は、定住後初めての冬を迎えるタイミング。
冬の楽しみと、どんなステップを踏んで移住に至ったのかをお聞きしました。
実はね、冬がいいんですよ、八ヶ岳は。
「実はね、冬がいいんですよ、八ヶ岳は。」と、比較的暖かい地域から移住して来た五百蔵さんご夫妻が語ってくれた。
愛犬のラルフとミーシャも八ヶ岳に移住してから毎日楽しそうだと言う。賑やかな二人と二匹のファミリーは充実した八ヶ岳ライフを送っている。
長い神戸生活の後、川崎へ転勤した都会派のお二人は、長年の八ヶ岳来訪経験から四季の魅力を熟知しており、寒さへの不安より冬の魅力を教えてくれた。
冬が待ち遠しくなる。
「新緑の頃には見えなかった景色に出会えるのが冬の醍醐味。空気が澄んでいるので、雪化粧をした富士山や南アルプスの稜線が美しく輝いたり、夜空を横切るように存在する雲状の光の帯が『天の川』である事に気付きます。五感を感じる冬の景色が好きなんです。」
「でも、なんと言っても冬は薪ストーブを焚くのが楽しみで、眺めていると早く火を入れてあげたくなります。薪ひとつとっても思い入れがあってね。火をつける前に、その薪を手にした時の記憶が蘇る事もあるんですよ。」
「八ヶ岳の気候は一年を通じてとても過ごしやすいです。湿度がそれほど高くないのが身体にもいいんでしょうね。夏はクーラー無しで眠れるのが何と言ってもいいです。特に私はクーラーがダメなので」と奥様。
「別荘を購入した頃は、子供たちを連れて毎月来ていましたが、彼らも成人し、今は2人と2匹の時間を満喫しています。
現在、息子は東京で暮らし、娘は料理を学びにイタリアの田舎町に行っています。彼等も自由に生き始めたということみたいです。
娘がイタリアからワインを送ってくるんですけど、帰ってきたら一緒に飲む約束をしています。」
まいにちが、日曜日。新たな学びや、挑戦したこと
まいにちが、日曜日。
「さて、今日は何をしようか?と一日一日を貴重な休日のように大事に過ごすようになりました。」朝起きて天気が良い時は、よくゴルフに行くという。奥様は八ヶ岳に移住してから本格的にゴルフを始め、すぐにご主人とラウンドできるようになった。「ゴルフ場も近いから、平日の空いている時に出かけてゆっくり回れるので、コースで練習しているようなもんですよ。
妻も短期間で随分慣れました。今年の誕生日には練習用のアプローチネットをプレゼントしました。まいにちが、日曜日。念願がようやく叶いました。」とご主人。
日帰りドライブも楽しみのひとつ。
「先日は善光寺と北向観音に行って来ました。併せてお参りした方がいいんでしょ。」と楽しそうに奥様が語る。
田舎に来たら何をするんだろうと多くの人が思うかもしれないが、実は毎日することがたくさんある。散歩に出かけて拾ってきた小枝や木の実でリースを作ったり、近所の農家さんにいただいた野菜で保存食を作ったり、結構忙しいという。
人との距離感がすごくいいんです。
定住を決めてからの最初の仕事は庭の物置作りと、薪の準備。
「物置作りは星の音の友人の息子さんが力を借してくれたし、薪の調達も定住の先輩に助けてもらっている。最初は火の点け方がよく分からなくてね。でも薪を長く乾燥させるとか、乾燥させた松ぼっくりや牛乳パックなど点火方法を色々教えてもらって、今ではもう手慣れたものです。」
わんちゃんがキッカケで多くの方と繋がりが生まれる。
「ここは人との距離感が楽なんです。みなさんプライベートを大事にしながら暮らしているので、価値観が似ているんでしょうね。 」
愛犬との移住を決意。
「20年ほど前、富士見高原にある姉の別荘を利用してから八ヶ岳通いが始まりました。泉郷の会員となり、わんわんパラダイスに何度も通いました。この仔たちも、わんパラに近づくと分かるみたいで、嬉しそうに話しかけてくれるんです。旅行の度に大きな荷物を整理するのは大変で、別荘が欲しいなぁと思い始めた頃、この建物に出会いました。最初から将来の移住も視野に入れており、阪神淡路大震災を経験しているので、別宅がある安心感も購入の決め手になりました。」
現役の頃は、毎月1.2回は週末を利用し金曜から月曜まで八ヶ岳に滞在していたという。
定年を迎えてからは、ご主人の神戸の実家でご両親の介護を経験し、その後は自分たちと家族であるラルフとミーシャと共に過ごす時間を持とうと、八ヶ岳への移住を決めた。
定年後、ラルフは変形性脊髄症という難病を発症し、歩くことが困難になってしまった。八ヶ岳で愛犬用の車椅子を購入し、毎日散歩をしているが、神戸より快適な暮らしだと言う。
「ラルフとミーシャの為にというのもあるけど、私たちも八ヶ岳の高原ライフに憧れていたのは間違いないです。5年先、10年先はどうしているかなんて考えられません。だって何が起きるかわからないでしょ。」
いま過ごす時を大切にした生活を送ろうと選んだ。その答えが八ヶ岳への移住だった。
奥様自作のリースや、愛着の持てる道具に囲まれて過ごす住まい。ご主人からプレゼントされたアプローチネットがある庭が趣味の広がりを感じさせてくれる。
不満を感じることはほとんどない。
「この家は北欧フィンランドのログハウスなので、家の中は真冬でもとても暖かいんです。窓も二重ガラスだから断熱性がいいでしょ。床暖房もありますが、この薪ストーブ1台だけで2階まで家中暖かくなります。夜は寝る前にストーブの火を落としますが、そのまま朝を迎えても大丈夫。
冬に外出する時は何枚も重ね着のレイヤードファッションです。外の寒さやお店の中に入った時の暖かさに応じて、着たり脱いだりすれば快適さを維持できます。」
メーカーに長く勤務していたご主人。実は、お住まいのことに関しては専門家でもある。
「家ってなかなか不満を消すことができないんですね。必ずどこかに不満があるものなんです。それでもこの家は不満がほとんどないんですよ。もう建ててから10年が経ちますが、外壁を塗り替えたくらいで、とても快適で手間もかかりません。
木が動いてドアが開けにくくなることもありますけど、それは本物の木の家の魅力ですからね。
あえて言えば、テラスの軒をもう少し出したかったくらいで、機能や性能、設備的にはとても満足。ホント、不満はないなぁ。」
生活を支える住環境
生活環境にもそれほど不便さはないという。
「11月の積雪の日でも翌日の朝には泉郷の管理センターが雪かきを済ませてくれました。ゴミの収集も買い物も不便さはない。
管理体制がしっかりしているから安心です。星の音ヴィラヴィレッジを約10年見ていますが皆さんと一緒に過ごせてちょうど良い距離感のコミュニティーが何よりもありがたいです。
好きな本に出会いに図書館なんかもよく利用しています。美術館も沢山あって文化的な一面も八ヶ岳の好きな所です。」
家具なども洗練されているので調度品も自然とこの土地に馴染むものが多く、新しい出逢いも楽しみの一つだ。
「強いて不満を言えば神戸より新鮮な魚が手に入りにくいくらいかな。でもね、先日諏訪で見つけたんですよ。新潟のおいしい鮮魚を届けるお店を。」
先のことばかり考えすぎずに、今を自由に大切に生きる。五百蔵さんの八ヶ岳移住ライフはまだ始まったばかりだ。
この記事は2017年のインタビューです。
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